生体膜機能研究分野

伊藤 俊樹

教授  伊藤 俊樹

TEL: 078-803-5792
FAX: 078-803-5782
E-mail: titoh(at)people.kobe-u.ac.jp

辻田 和也

准教授  辻田 和也

TEL: 078-803-5967
FAX: 078-803-5782
E-mail: tsujita(at)people.kobe-u.ac.jp

根本 悠宇里

助教  根本 悠宇里

TEL: 078-803-5967
FAX: 078-803-5782
E-mail: yuri.nemoto(at)people.kobe-u.ac.jp

研究内容

私たちの研究室では、悪性腫瘍を最も困難な疾患とする要因である、「がん細胞の浸潤性運動メカニズム」に焦点を当てた研究を行っています。がん細胞にとどまらず、全ての細胞運動現象には、細胞の最外殻構造である細胞膜と、それを裏打ちするアクチン細胞骨格の大規模な構造変化が伴います。私たちは、このような細胞膜の構造変化をささえる物理的なパラメーターである「細胞膜張力」に着目することで、この複雑な現象を理解しようと試みています。研究室の主な研究内容は以下の通りです。

  1. がん細胞の悪性化における細胞膜張力の意義
  2. がん細胞の浸潤性運動における膜張力センサーF-BARタンパク質の役割
  3. 細胞膜の張力を生み出す分子メカニズム
  4. 細胞膜張力を介したメカノトランスダクション機構の解明

細胞膜にかかる張力を実測し、評価するツールとして、私たちは「光ピンセット」と呼ばれる手法を用いています。がん細胞と正常細胞の細胞膜を「つまんで」「引っ張る」ことで、膜にかかる力を計測したところ、がん細胞の悪性化に伴って細胞膜張力が低下することを発見しました。また、細胞膜張力の低下は、細胞膜を曲げる活性とアクチン重合を促進する活性を併せ持つ「F-BARタンパク質」によって認識され、浸潤性の細胞運動を引き起こすことも明らかにしています。

私たちの研究により、細胞膜とそれを支えるアクチン細胞骨格にかかる「物理的な力」が、リン酸化やユビキチン化、Gタンパク質などを介した細胞内情報伝達を制御する「物理シグナル」として機能することが明らかになりつつあります。細胞膜をめぐる「力」と「かたち」の関係に着目することで、これまでにない治療戦略に繋がる発見を目指して研究を進めています。

伊藤研究室 HP

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