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ファクトブック

設置理念に見るバイオシグナル総合研究センターの強み・特色

現在、神戸大学は「先端研究と文理融合研究で輝く卓越研究大学へ」をビジョンとして掲げ、特色ある教育と研究活動を推進している。このような目的を達成するための基幹研究推進組織の一つとして、神戸大学バイオシグナル総合研究センターは、平成28年4月に旧バイオシグナル研究センターと旧遺伝子実験センターを発展的に統合することで設立された。

前身であるバイオシグナル研究センターは、タンパク質リン酸化の機能を中心とする細胞内情報伝達機構の解明を目的として平成2年に学内共同教育研究施設として設置され、我が国におけるバイオシグナル研究の中核として先導的な役割を担ってきた。その後、ゲノム損傷応答、細胞死、低分子量Gタンパク質シグナリング、リン脂質膜動態など、幅広いシグナル伝達機能へと研究対象を広げながら発展を遂げてきた。

一方、遺伝子実験センターは、神戸大学遺伝子実験施設の改組により平成13年に発足した。特に、環境応答に関わる遺伝子の機能解明を通して世界的規模の環境・食糧問題に対処するための研究教育活動を実施するとともに、遺伝子組換え実験に関する安全管理業務及び遺伝子、タンパク質の機能解析に関する共同利用機器の運用で実績を蓄積してきた。

この2つのセンターを統合して新たに発足したバイオシグナル総合研究センターは、以下の3研究部門、9研究分野から構成されている。

「シグナル機能制御研究部門」
(分子薬理研究分野、細胞情報研究分野、生体膜機能研究分野)

神経、がん、免疫などの高次生命機能におけるバイオシグナルの解明と制御を目指す(バイオシグナルの「作用」)。

「シグナル統合経路研究部門」
(ゲノム機能制御研究分野、細胞増殖分化制御研究分野、情報分子相関研究分野)

ゲノム機能や細胞の増殖・分化・死といった根源的な生命現象に関わるシグナル伝達経路の解明を目指す(バイオシグナルの「伝達」)。

「シグナル分子応答研究部門」
(環境物質応答研究分野、ストレス応答制御研究分野、環境遺伝子応答研究分野)

環境因子など主に外界からの刺激に対する生物応答の分子レベルでの理解を目指す(バイオシグナルの「発信」)。

これらの研究部門、研究分野が互いに有機的な連携を図ることで、バイオシグナルの「発信」から「伝達」及び「作用」に至るまで、バイオシグナルの機能の全体像を俯瞰した先端的研究を展開できる他に類のない強み・特色を持つ研究組織として、多様な細胞内情報伝達機構の統合的理解とその異常に起因する様々な疾病の克服を目的とした研究教育活動を推進している。バイオシグナル総合研究センターには、理学、医学、農学、薬学など、幅広い研究分野の教員が所属しており、その学際性を活かして融合的研究分野の創出に貢献できる体制を構築している。

研究面での強み・特色

旧バイオシグナル研究センターは、平成14年度に採択された21世紀COEプログラム「蛋白質のシグナル伝達機能」において、中核施設としてバイオシグナルに関する国際水準の研究教育実績を蓄積した。平成19年度からは大学院自然科学研究科の改組の一環として発足した自然科学系先端融合研究環を構成するセンター群の一つとして新たな研究教育活動を展開した。この間、平成19年度グローバルCOEプログラム「統合的膜生物学の国際教育研究拠点」(生命科学分野)及び平成20年度グローバルCOEプログラム「次世代シグナル伝達医学の教育研究国際拠点」(医学系分野)に参加し、国際的な視野に立ったシグナル伝達研究の推進と若手研究者の育成に貢献してきた。また、神戸大学遺伝子実験施設の改組により発足した遺伝子実験センターは、「環境遺伝子」(環境と生物の関係に関わる多種・多用な遺伝子の総称)に関する研究を行い、これらの遺伝子の機能を明らかにすると共に、環境と生物の環境を制御し、環境や食糧問題に対処するための研究教育活動を実施するとともに、遺伝子組換え実験に関する安全管理業務及び遺伝子、タンパク質の機能解析に関する共同利用機器の運用で実績を蓄積してきた。この間、平成19年度~24年度は農業・食品産業技術総合研究機構 新技術・新分野創出のための基礎研究推進事業において「食品の安全性評価用ナノセンサーの開発」の事業を主導した。また、平成27年度からは、文部科学省科研費新学術領域において「高度神経系機能制御に関わるncRNA機能の解析」を推進している。

以上のような実績を基盤として、バイオシグナルが関わる幅広い生命現象の統合的理解とその制御を目指した先端的な研究活動を実施するとともに、全国の研究者を対象とした共同利用研究を推進して新たな学術研究の展開を図っている点は、バイオシグナル総合研究センターの大きな強み・特色である。新センターの発足とともにバイオシグナルに関する共同利用研究課題の公募を実施し、平成28年度は計36件の課題を採択、延べ68名の共同研究者を受け入れた。共同利用研究課題の実施にあたり、研究部門とは別にセンター内に共同利用・共同研究支援推進部門を設置し、旧遺伝子実験センターで蓄積した学内共同利用の実績をもとに、学外の共同研究者に対しても共同利用機器を用いた解析や依頼分析等の支援を行っている。さらに定期的に研究集会や国際シンポジウムを開催するなど、バイオシグナルに関連した異分野の研究者間の交流と融合的研究分野の創出を図るための活動を実施している。

教育面での強み・特色

近年の生命科学研究においては、研究分野間の垣根が益々低くなり、異分野間の連携、共同研究なくしては問題解決に至らない研究事例が増えつつある。バイオシグナル総合研究センターに所属する教員は、自身の専門に応じて理学研究科、医学研究科、農学研究科に分かれ、先端的な研究内容を反映した専門科目の講義や研究指導等の教育研究活動を行うとともに、大学院博士前期課程・後期課程を対象とする研究科共通授業科目「先端融合科学特論」を担当するなど、研究分野・学術領域の垣根を越えた教育研究を推進している。センター独自の取り組みとしては、定期的に開催する講演会においてメンバーの研究発表を全員で聴いて討論を行うと共に、また不定期に行われる学術講演会や共同利用研究活動の一環としての研究集会及び国際シンポジウムに各研究分野の一流の専門家を招へいするなど、学生が異分野の研究に触れ、学際的、国際的視野を身につけるための機会を設けている。これら最先端の分野融合的な教育研究活動を通じて、現在各界で活躍する人材を多数輩出している。

最近センター主催により開催された学術講演会研究集会国際シンポジウムの一覧を以下に示す。

学術講演会

開催日 演 題 講 師
5月25日 複雑化したDNA損傷に立ち向かうゲノム恒常性維持機構 佐々 彰 博士
千葉大学大学院理学研究院
9月19日 再生における糖脂質の機能的役割 糸数 裕 博士
オーガスタ大学・
ジョージア医科大学

昨年度以前の情報はこちらをご覧下さい。

バイオシグナル研究会

  開催日 テーマ
第一回 2016年 8月30日 バイオシグナリング解析がもたらす次世代科学への貢献
-感覚器研究における現状と展望-
第二回 2016年11月10日 バイオシグナルと環境応答
第三回 2017年 3月 8日 RNAと生命情報
第四回 2017年 9月 1日 栄養シグナリング TOR と細胞機能制御
〜基礎研究から創薬へ〜
第五回 2017年10月17日
開催予定
生命環境と生物シグナル応答-基礎から応用まで-

国際シンポジウム

  開催日 テーマ
第一回
1st
2017年 1月24日 タンパク質リン酸化酵素がつかさどる多彩な生命現象と
疾患メカニズム
Protein kinases and Disease
第二回
2nd
2017年11月20〜21日
開催予定
環境ストレスとゲノム損傷応答:
分子と疾患をつなぐバイオシグナル
Environmental stress and genome damage response:
Biosignals from molecule to disease